宅建の民法って難しくない・・・?
今回は民法の勉強方法を解説します!
- 宅建で民法は重要か?
- なぜ民法は難しいのか?
- 民法の勉強方法
- 伸び悩んだときのオススメのスクール
<プロフィール>
- 不動産業に憧れて宅建の受験を決意
- 宅建は独学で勉強
- 本試験は41点で一発合格
本記事を書いている私は宅建を独学で合格しており、独学で合格する方法をお伝えしていきます!
- 宅建の勉強を始めた人
- 宅建の勉強で特に民法の勉強方法に悩んでいる人
筆者の成績
今回紹介する勉強方法の信頼性を証明するために、私の本試験の成績を公開します。
科目 | 得点 |
---|---|
権利関係 | 12/14 |
宅建業法 | 18/20 |
法令上の制限 | 5/8 |
税その他 | 2/3 |
免除科目 | 4/5 |
合計 | 41/50 |
権利関係のうち、第1問から第10問までの民法は全問正解しています!
本記事は民法で満点を取った筆者が自信をもってお届けします!
宅建における民法の重要性
宅建は全50問が出題され、問題構成は以下の通りです。
- 権利関係:14問
- 宅建業法:20問
- 法令上の制限:8問
- 税その他:3問
- 免除科目:5問
民法は権利関係14問の一部ですが、14問の内訳は民法10問、借地借家法2問、不動産登記法1問、区分所有法1問に分けられます。
つまり民法は宅建50問のうちの10問、全体の20%を占める重要な科目になってきます。
宅建における民法の難易度は?
宅建の中でも民法の難易度は高い!
民法は宅建受験生が苦手となりやすい科目の筆頭です。
民法で高得点を得るためには法律的な考え方をマスターする必要があります。しかし宅建で始めて法律の勉強をする人も多いく、苦手と考える人が多いようです。
宅建で民法を捨てる選択はありなのか?
民法を捨てる選択は危険!
民法は宅建の試験科目の中でも20%を占める、宅建業法についで重要性の高い科目です。
宅建はすべての問題が4択のマークシート形式で出題されますので、適当にマークした場合の正答率は25%となります。
そのため、民法を捨ててすべて勘で答えた場合に正解できる問題数は多くて3問です。
宅建の合格点はおよそ7割となる35点がひとつの目安となりますので、民法を除いた残り40問で32点以上、すなわち8割以上の点数をキープする必要があります。
なかなかハードルが高いですよね?
宅建で民法は何点を目指すべきか?
民法10問のうち5問から7問の正答を目指す!
民法を捨てて残りの科目で8割以上を目指す作戦もありかもしれません。
しかし民法で5割から7割程度の正答率をキープしつつ、他の科目で7割から8割の正答率を狙うほうが合格の可能性は絶対に上がります。
なぜ宅建で民法は難しいのか?
民法が難しい理由は3つあります。
- 言葉がわかりづらい
- 単純な暗記が通用しない
- 範囲が広い
順番に解説します。
言葉がわかりづらい
民法で使われる法律用語に苦戦する人は多いです。
例えば
- 善意と悪意
- 無過失、重過失
- 対抗できる、できない
- 追完請求
などなど・・・。
法律で使う用語は、生活する上では使わない言葉が非常に多く「何言ってるの?」となりがちです。
また、シンプルに言い回しが固く漢字が多いため見ただけで嫌になる人も少なからずいます。
単純な暗記が通用しない
民法の問題は事例問題が多く、単純な暗記では乗り切れません。
例えば2021年10月度の本試験では以下のような問題が出題されました。
Aが1人で居住する甲建物の保存に瑕疵があったため、甲建物の壁が崩れて通行人Bがケガをした場合(以下この問において「本件事故」という。)における次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。
1.Aが甲建物をCから賃借している場合、Aは甲建物の保存の瑕疵による損害の発生の防止に必要な注意をしなかったとしても、Bに対して不法行為責任を負わない。
2.Aが甲建物を所有している場合、Aは甲建物の保存の瑕疵による損害の発生の防止に必要な注意をしたとしても、Bに対して不法行為責任を負う。
3.本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害又は加害者を知らないときでも、本件事故の時から20年間行使しないときには時効により消滅する
4.本件事故について、AのBに対する不法行為責任が成立する場合、BのAに対する損害賠償請求権は、B又はBの法定代理人が損害及び加害者を知った時から5年間行使しないときには時効により消滅する。
宅建2021年10月度本試験の第8問
Aさんが住んでいる建物が壊れて、Bさんが怪我した場合に誰が責任を負うか、責任を負う場合の損害賠償請求の時効は何年かという問題です。
この問題は、
- 建物の占有者は損害の発生を防止するのに必要な注意をした場合は責任から逃れられる
- 建物の所有者は必要な注意をしても責任から逃れられない
- 損害賠償請求の時効が被害者が知ったときから5年間(生命・身体の損害による場合)または不法行為のときから20年間
という理解がなければ正答できない問題です。
※ちなみに選択肢1が誤っているため、答えは1です。
上記のようにただ知っているだけでは解けない問題が民法では圧倒的に多いです。
なお、今回例に出した2021年10月度試験の8問目は当時のTACとLECによる無料採点の集計によると受験生の正答率が9割近い、正答必須の問題です。
範囲が広い
民法の条文は1,046条もあり、86条しかない宅建業法の約8倍!
民法の条文数は圧倒的に多く、また条文だけでなく判例も勉強の対象になってきます。
宅建ですべての条文が問われるわけではないですが、それでも宅建業法や他の科目より試験範囲が広いことは間違いないです。
実際に私が受験時代に使用したわかって合格るシリーズも権利関係のテキストだけページ数が明らかに多いです。
- 権利関係:230ページ
- 宅建業法:168ページ
- 法令上の制限:164ページ
- 税その他+免除科目:70ページ
範囲の広さは難易度の高さに直結します。民法を苦手とする受験生が多くなるのは必然と言えるでしょう。
民法の勉強法
民法が難しいのはわかったけど、じゃあ民法はどうやって勉強すればいいの?
私が民法を勉強する上で意識していたこと、実行していたことを解説します!
民法を理解するために必要なポイントは5つです。
- 民法はトラブルの予防、解決のための法律であることを知る
- 民法は弱いモノの味方であることを知る
- 民法には原則があることを知る
- 民法の優先順位を知る
- 民法の暗記方法を知る
民法はトラブルの予防、解決のための法律であることを知る
そのため民法を勉強する上でもっとも理解すべきことは「人の権利を守ることを目的として民法の条文や判例が定められている」点です。
「権利を守る」というとわかりにくいかもしれません。
例えばAさんがBさんに土地を売る契約をしたものの、BさんがAさんに代金を払ってくれない場合を考えてください。
Aさんは代金をもらう権利があるにも関わらず、Bさんが払ってくれなければ困ってしまいますよね?
そのため民法ではBさんがAさんに代金を払ってくれない場合、Aさんが代金を受け取れる権利を守るために「契約の解除」や「損害賠償請求」ができるように定めています。
逆にBさんが代金を払えない理由が、台風などの自然災害が原因の場合はBさんが直接的に悪いわけじゃないので、Bさんの権利を守るために損害賠償金額を決めるときに配慮しようねと定めています。
民法はAさんとBさん(さらにCさん、Dさんと複数人がいるときもあり)それぞれの権利を守るために存在します。
AさんとBさんの権利を守るために予めやってはいけないことを定めつつ、権利が侵害されそうなときの解決方法を法律としてちゃんと定めているわけです。
- なぜ民法ではこのように定められているのか?
- なぜこのような判例があるのか?
常に考え、答えを見つけながら勉強をしてください。必ず点数が伸びるようになります。
民法は弱いモノの味方であることを知る
例えば成年被後見人などの制限行為力者は代表例です。
判断能力の低い方々は法律上弱い立場の人であると考えます。そのため、制限行為能力者が単独で行った法律行為は取り消すことができる場合があります。
法律行為をあとから取り消せる旨を定めることで、制限行為力者を守っているわけです。
他にも可哀想な人を守る例として詐欺に関する規定があります。
例えばAさんが自分が所有していない土地をBさんに売却し、その後Bさんが騙されたことを知らないCさんがBさんからその土地を買ったしたとします。
この場合、一番可哀相な人は誰でしょう?
民法では「何も知らないCさんが一番可哀想」と考えます。
Aさんに騙されたBさんも可哀想ですが、Bさんは騙されたという落ち度があるため、一番可哀想なのは落ち度が一切ないCさんと考えます。
そのため、民法では詐欺による法律行為の取消は善意無過失の第三者に対抗できないと定められています。
善意無過失の第三者であるCさんを守ろうとしているわけです。
このように民法は誰を一番保護すべきかという点を考えながら勉強を進めていくと、理解がはかどります。
民法には原則があることを知る
例えばBさんがAさんから代理権を与えられていないにも関わらず、Cさんに対してBさんがAさんの代理として土地の売買契約をした場合、原則として売買契約の効果はAさんに帰属しません(いわゆる無権代理)。
ただし例外としてAさんが追認をすると売買契約の効果が生じます。
このように民法では「原則としては●●だけど、例外として○○」というパターンが良くありますので、原則と例外という考え方をしっかりと理解することが重要です。
なおこの考え方を理解していると知らない問題を解けるときがありますのでご紹介します。
実際に私が受験した2021年10月度の本試験の10問目です
AとBとの間で、Aを売主、Bを買主とする、等価値の美術品甲又は乙のいずれか選択によって定められる美術品の売買契約(以下この問において「本件契約」という。)が令和4年7月1日に締結された場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
1.本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Cを選択権者とする合意がなされた場合、Cが選択をすることができないときは、選択権はBに移転する。
2.本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、Aを選択権者とする合意がなされた後に、Aの失火により甲が全焼したときは、給付の目的物は乙となる。
3.本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについての選択権に関する特段の合意がない場合、Bが選択権者となる。
4.本件契約において、給付の目的を甲にするか乙にするかについて、第三者Dを選択権者とする合意がなされた場合、Dが選択権を行使するときは、AとBの両者に対して意思表示をしなければならない。
2021年10月度の本試験の10問目
「選択債権」という論点の問題で、宅建受験者で勉強している人は通常いないためいわゆる捨て問です。
私も選択債権は勉強してなかったのですが「原則と例外」の考え方を知っていると選択肢2と4の2択まで絞れます。
- 美術品の甲と乙のどちらを選ぶか、民法では原則として「売手」と「買手」のどちらかが選ぶことが定められているに違いない
- そう考えると肢3は原則として買主が選ぶことが定められていることになる
- ただし原則が買主になると肢1も第三者Cが選べない状況で、原則で判断することになる。
- つまり原則として買主が選ぶことになると肢1と3のどちらも正解になってしまうので肢1と3は間違い。
- ということは甲と乙を選ぶのは原則として売主になる
完全な勘で答えをマークするよりは、2択に絞ったほうが正答率が上がることは言うまでもありません。
「原則と例外」の考え方を常に意識して勉強すると、理解度が大きく上がります。
民法の優先順位を知る
宅建の試験を管理している「 一般財団法人 不動産適正取引推進機構」から明確な発表はないものの、過去問等から一般的に民法で重要と言われている項目は以下の通りです。
- 制限行為力者
- 意思表示
- 代理
- 債務不履行
- 時効
- 抵当権
- 相続
- 賃貸借
- 不動産物件変動
基本的には不動産取引に関連する条文がメインです。
そのため出題可能性が高い項目を中心に効率よく勉強することが重要です。
出題可能性が高い項目についてはお持ちのテキストや受講しているスクールを信じるのが一番です。
ネットで調べれば出てくる情報でもありますが、ネットの情報は古い情報が残っている可能性があります。
対してテキストやスクールは常に最新の情報が載っていますので、素直に信じれば良いです。テキストの著者やスクールの講師はプロですので、プロの意見を信じましょう。
ただしテキストについては最新版の情報を信じましょう!
特に民法は2020年に大改正がありましたので、古いテキストでは情報が古い可能性があります。
民法の暗記方法を知る
宅建の民法は単純な暗記で乗り切れないことはすでに説明しましたが、それでも暗記は必要です。
ただし暗記と言っても言葉の定義を一言一句覚えるというわけではなく、小難しい法律用語を覚えるための暗記です。
例えば
- 善意と悪意
- 無過失、重過失
- 対抗できる、できない
- 追完請求
などの用語です。
本試験では当然のように法律用語を使いますので、法律用語の意味を覚えていないので問題が解けないどころか問題文の意味すらわからなくなります。
例えば私は以下のように置き換えてます。
用語 | 言い換え |
---|---|
善意と悪意 | 知っていると知らない |
無過失、重過失 | 悪くない、とっても悪い |
対抗できる、できない | 相手に言える、言えない |
追完請求 | 契約通りにやれと言える |
一例ですが、私はわかりづらい法律用語はすべて自分でわかる言い方に言い換えてました。
反対に「知っていることを善意という」のように、意味から法律用語がでてくるように覚えることも必要となってきます。
民法では単純な暗記は意味がありませんが、暗記がまったく不要ということはありません。
専門の法律用語の意味をしっかり覚える必要があります。
どうしても民法が苦手な人はスクールに通う
民法はどうしても理解がしづらい科目ですので、テキストだけの独学に限界を感じたら、スクールに通うことを強くオススメします。
確かにお金はかかりますが、宅建士は一度受かれば一生宅建士を名乗れますので自分への投資として必要なお金は払うべきです。
私のオススメはスタディングとアガルートです。
スタディング
- 授業風景の録画ではなく、動画としての教材を作っているので動画がわかりやすい
- スマホで勉強できるのでスキマ時間を使いやすい
- 受講内容等の質問ができない点はマイナス
\ 資料請求はこちらから!/
スタディングは解説動画がかなりわかりやすい点がおすすめポイントです。
この手の講義の動画は通常の講義を録画しただけの動画が多いのですが、スタディングは動画も教材と考え、テキストなしでも理解できる動画を作っています。
スマート問題集といってオンラインの問題集が用意されているのでスキマ時間にスマホを使って1問だけ問題を解く等の勉強ができる点もオススメです。
一方で、最大のデメリットとしてテキストや受講内容についての質問ができません。
また、好みの問題ですがテキストがWebのみ(紙のテキストがない)点も人によってはマイナスポイントかもしれません。
アガルート
- 講師とオリジナルテキストの評判が良い
- Facebookを使って講師へ質問や相談ができる
- 合格特典としてお祝い金か受講料の全額返金が受けられる
- スマホでは動画を見るだけで問題演習とかができない
\ 資料請求はこちらから!/
アガルートは講義とオリジナルテキストのわかりやすさに定評があり最大のオススメポイントです。
私もサンプルの動画を見ましたが、確かにかなりわかりやすく頭に入ってきやすい講義でした。
Facebookグループにより質問やカウンセリングを行ってくれる点も高評価です。
また特にすごいなと思っているのは、合格すると合格特典として受講料が返金されることです。正直これで儲かるのかどうか不安になるシステムです。
一方でスマホの学習は動画を見るぐらいに限定されており、例えば問題演習やスケジュール管理機能はないため、スマホを使った学習についてはスタディングに軍配が上がります。
まとめ
- 民法は宅建の科目の中で難易度が高い
- 民法はトラブル予防・解決のための法律
- 民法は弱いものの味方
- どうしても点数が伸びなければスクール受講も検討する
宅建の民法は権利関係14問のうち10問を占める重要な科目です。
権利関係は14問中、半分程度の7,8問正解できればOKと言われます。
しかし、民法の点数を伸ばして、権利関係を10問近く正答すれば他の科目で多少ミスっても余裕をもって合格できます。
ぜひとも民法は半分ぐらいできれば良いと思わず、点数を伸ばせるように勉強してください。
では、今日はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました!
コメント
コメント一覧 (2件)
宅建は、法学部生or法学部卒なら、比較的楽に取れるんですよね。
ただ、私が受けたとき(2015年)は民法がかなり難化したため、試験中にかなり焦った記憶があります。
2015年といえば合格点が31点と相当難しかったときですよね。
私も過去問解いたときはちんぷんかんぷんでした、、、