簿記の勉強を始めたんだけど、簿記ってつまらなくない?
こんな疑問にお答えします
- 簿記をつまらないと感じしまう理由がわかる
- 簿記を面白くするための勉強方法がわかる
<プロフィール>
- 高校卒業後に公認会計士を目指して受験に専念
- 当時最年少で公認会計士試験に一発合格
- 公認会計士試験の会計学をトップで合格
本記事を書いている私は公認会計士試験を最年少、会計学をトップで合格しており簿記は大得意です!
- 簿記がつまらないと感じている人
- 簿記の勉強が捗らない人
簿記はつまらない?
簿記は日商簿記2級合格レベルまで勉強が進まないとつまらないです
私は日商簿記2級を高校生のときに合格していましたが、高校生時代は簿記を面白いとまったく思いませんでした。
私が簿記を面白いと思ったのは公認会計士の勉強をはじめてからです。
では、なぜ簿記がつまらないのか具体的に解説していきます。
なぜ簿記がつまらないと感じるのか?
簿記を「つまらない」と言っている人は大別して2つのタイプがいると考えています。
- ただルール通りに答えを書くだけだからつまらない
- 理解ができずにつまらない
実はどちらも言っていることは間違っていません。
簿記の2つの特性が簿記をつまらないと思われてしまう要因になっています。
- 特性1:簿記は単なる帳簿への記帳
-
だから、ルール通りに答えを書くだけなのでつまらない
- 特性2:簿記は全体を理解するのに時間がかかる
-
だから理解できずにつまらない
順番に解説していきます
簿記は単なる帳簿への記帳
そもそも簿記は「帳簿記入」を略して「簿記」となりました。
そのため、帳簿への記入こそが「簿記」です。
例えば、1個100円の商品10個、合計1,000円の商品を現金で買ったとしましょう。
帳簿への記載は以下のような感じです。
- 商品1,000円/現金1,000円の伝票を起票する
- 商品の総勘定元帳の借方に1,000円を書く
- 現金の総勘定元帳の貸方に1,000円を書く
- 商品有高帳に単価100円、10個、合計1,000円仕入れたことを記帳する
- 現金出納帳に1,000円札を1枚使ったことを記帳する
ハッキリ言って、こんな帳簿への書き方を覚えるだけの勉強が面白いわけないです。
しかも今ではシステムへの入力・登録が当たり前になっており、答案用紙に手書きでひとつひとつ書く作業が楽しいとは言い難いと思います。
借方・貸方とか知らねぇよ! 左と右でいいじゃねぇか!
こんな悲鳴を言いたくなる気持ちはとても良くわかります・・・。
しかし簿記を勉強するうえでは、どうしても仕訳の書き方や帳簿への書き方から入らざるをえないため、特に初見ではつまらないと感じてしまうことが多いのだと思います。
簿記の全体を理解するのに時間がかかる
簿記(複式簿記)は13世紀頃に開発され、発展してきた歴史ある学問です。
そのため、簿記の考え方・会計の理論の全体を理解するにはかなりの時間がかかります。
日商簿記3級を一周すれば
- 期中に仕訳を起票
- 期末に決算整理
- 試算表を作る
- 財務諸表にまとめる
という一連の流れを理解できますが、日商簿記3級を一周してようやく理解できるかと思います。
しかも単純な「帳簿記入」の流れの理解であって、会計理論の理解という意味ではありません。
個人的には日商簿記2級合格レベルに入って、ようやく簿記や会計の全体感がわかってくるぐらいかなと思っています。
簿記を面白くするためには?
簿記がつまらない理由として
- 単なる帳簿への記帳だから
- 全体を理解するのに時間がかかるから
という2つの理由を解説しましたが、2つのつまらない理由を払拭するためにおすすめしたい勉強が決算書が読めるようになる勉強です。
私が簿記や会計を仕事中に面白いと思う瞬間は、決算を締めている最中の決算数値の分析です。
例えば、
- 前年同期比較
- 予実比較
- 同業他社との比較
- 来期に向けた懸念事項の洗い出し
などです。
そこで、決算書を読めるような勉強方法の説明と、簿記が面白くなる決算の分析方法を簡単に紹介します。
決算書を読めるような勉強をする
簿記を勉強しているとひとつひとつの仕訳や会計処理に夢中になって忘れがちなのですが、簿記の目的は決算書である貸借対照表や損益計算書を作ることです。
そのため、簿記の勉強は一旦忘れてまずは決算書を読めるようになる勉強をすることがおすすめです。
決算書がある程度読めるようになってくると簿記の見え方がかなり変わってきます。
例えば簿記を勉強した方であれば誰もが聞いたことがある「しーくり、くりしー」でお馴染みの「仕入/繰越商品、繰越商品/仕入」の仕訳がわかりやすいです。
この仕訳を行うことではじめて、損益計算書の売上原価と貸借対照表の商品勘定が確定します。
人によっては「しーくり、くりしー」で丸暗記しているかもしれませんが、最初に決算書の読み方をマスターしていると仕訳ひとつ覚えるにしても見え方がかなり変わります。
でも決算書の読めるような勉強って何をすればいいの?
ビジネス会計検定の勉強がおすすめです!
ビジネス会計検定の勉強がおすすめ
簿記に比べるとマイナーな資格なのですが、大阪商工会議所が主催しているビジネス会計検定という資格があります。
ビジネス会計検定試験は、財務諸表に関する知識や分析力を問うもので、財務諸表が表す数値を理解し、ビジネスに役立てていくことに重点を置いています。
ビジネス会計検定試験とはより引用
簿記が帳簿の記帳から決算書の作成を勉強するのに対して、ビジネス会計検定は作成された決算書を読み解く勉強ができる資格です。
簿記が面白くないと思う方は、ぜひ一度ビジネス会計検定の勉強をしてみてください。
まだまだマイナーな資格ですが、個人的には日商簿記と双璧をなすような資格になってほしいと思っています。
おすすめ書籍
100分でわかる!決算書超「分析」超入門がおすすめです
名前のとおり100分あれば読めますので、決算書を読めるようになる勉強の基礎としてイチオシの書籍です。
ビジネス会計検定を改めて勉強する時間が無い方はぜひ読んでみてください。
4月に新卒の子が経理に入ってきたので、この本を買って読むように指導してます。
簿記がつまらない人だけじゃなくて、簿記を勉強中の人にもおすすめの一冊です。
決算書を読むときの分析方法の紹介
私が監査法人時代の監査や現在の経理業務で実際に行っている主な分析方法を紹介します。
決算の分析ができるようになると簿記や会計が一気に面白くなります。
色々な分析方法があるのですが、今回は4つ紹介します。
- 前年同期比較
- 予実比較
- 同業他社との比較
- 来期に向けた懸念事項の洗い出し
順番に解説していきます
前年同期比較
前年(去年)と今年で科目ごとの増減を調べます。
単純に増えた理由や減った理由を調査するのも面白いですが、「本当は減るはずなのに増えている」「本当は増えるはずなのに減っている」科目の分析が前年同期比較の醍醐味です。
- 従業員数が増えているのに人件費が減っている
→業績が悪くなって、去年は支払っていた決算賞与を支払わなかった - 固定資産は増えていないのに販管費の減価償却費が増えていた
→原価計算が間違っていて、本来原価に計上すべき減価償却費が販管費に計上されていた
決算書を読み解く基本は前年比較です!
予実比較
予算と実績の増減を調べます
予算と実績の比較は「なぜ予算を達成できたのか?orできなかったのか?」の検討が醍醐味です。
- 予算策定時には見込んでいなかった新規の大口得意先を獲得した
→得意先を獲得した営業マンが社内研修を実施することにした - 当初は1ドル110円を想定していたが、実際は1ドル130円になったため海外からの部材調達コストが大きく上がり原価率が悪化した
→来期は早い段階で為替予約を実行することとした
予実分析は、分析後に予算達成のためにどのようなアクションを起こすかまで考えることが重要です。
同業他社との比較
同業他社(ライバル企業)と売上や利益を比較します。
単純に勝った負けたではなく、他社との差別化を図るために重要な分析です
- 他社は国内売上が当社より多いが、当社は海外売上比率が大きい
→海外への展開を強化する - 他社は資金調達を借入に頼っているが、当社は自己資金で賄えている
→株主への還元や株価対策を他社以上に強化する
他社の情報は得られる情報に制限があるため、限られた情報から的確な分析を行うところが腕の見せどころです。
将来に向けた懸念事項の洗い出し
簿記の知識があれば、将来に向けた懸念事項が色々と見えてきます。
懸念事項と解決策をまとめて上司や役員に向けた発信は、経理・会計に携わる人間であればかなり面白い仕事になります。
- A商品が滞留しており、このままではA商品の評価損が免れない
→A商品の割引による販売や新規開拓の提案 - 想定以上に円安or円高になりそうな経済環境になっている
→為替予約の提案
他にも節税や原価管理の提案などは腕の見せどころと言えます
まとめ:簿記がつまらない人は決算書を読めるような勉強がおすすめ
- 簿記は日商簿記2級合格レベルまでは面白くない
- つまらないと思う人は決算書を読めるような勉強がまずはおすすめ
- 決算書読むための勉強としてビジネス会計検定がおすすめ
私も高校1年生の16歳ではじめて簿記を勉強したときは「つまらないなー」と思っていました。
今では簿記や会計の面白さをいくらでも説明できますので、今回の記事が少しでもみなさまの簿記や会計への興味につながれば嬉しいです。
では、今日はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました!
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