【日商簿記2級】工業簿記の勉強法/会計士試験会計学トップ合格者が解説【難しい?苦手?コツを伝授!】

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工業簿記勉強法
受験生

工業簿記が苦手なんだけど・・・

ため

今回は工業簿記の勉強法を解説します!

本記事の内容
  • 工業簿記の特徴を解説
  • 工業簿記の勉強法を解説
  • 工業簿記の本試験の解き方を解説
  • おすすめのテキストやスクールを解説
この記事を書いた人
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ため

<プロフィール>

  • 日商簿記1級をはじめて受験したときは81点、足切りで不合格
  • 高校卒業後に公認会計士試験を目指して受験に専念
  • 当時最年少で公認会計士試験に一発合格
  • 公認会計士試験の会計学をトップで合格

本記事の執筆者は公認会計士試験の会計学(簿記)をトップの成績で合格している簿記のプロフェッショナルです!

この記事はこんな人におすすめ!
  • 日商簿記2級の勉強を始める人
  • 日商簿記2級を勉強中の人
  • 工業簿記が苦手な人
目次

筆者の成績

ため

今回紹介する記事の信憑性を証明するため、私の本試験の成績を公表します。

  • 日商簿記2級:40点(満点)
  • 日商簿記1級:工業簿記25点、原価計算25点(満点)
  • 会計士試験短答式:95%
  • 会計士試験論文式(管理会計):第4問67.3%、第5問80.2%

工業簿記は日商簿記2級の頃から一貫して得意でした。

工業簿記の特徴

勉強法の前に工業簿記の特徴について解説します。

工業簿記は日商簿記2級において、100点満点中40点の配点があるため、工業簿記を捨てた状態での合格は不可能です。

まずは工業簿記の特徴を把握することが、工業簿記を得意にする近道になります。

製造業やシステム業界で必須の知識

商業簿記は物を【仕入れて】売る
工業簿記は物を【作って】売る

よく聞く商業簿記と工業簿記の違いです。

工業簿記では物を作るため、作った物の原価がいくらになるか?を考えることが重要なポイントになります。

作るためにかかった原価=コストはいくら? を計算するための計算方法やルールが工業簿記の本質です。

また工業簿記では工場で物を作る製造業が通常ですが、実務の世界に出るとソフトウェアの開発を行っている会社で工業簿記の知識を使うことが多いです。

ソフトウエアの製造会社もソフトウエアを【作って】ますからね。

他にも共通費や間接費の配賦は予算作成や予実の分析等のいわゆる管理会計では必須の知識です。

ため

工業簿記の知識の重要度は年々増していると思います。

似たような用語が多い

特に差異関係で似たような用語が多いです。

例えば能率差異と操業度差異。労務費差異と賃率差異etc・・・。

そのため単純な暗記だといざというときに「あれどっちだっけ・・・?」となりがちです。

暗記が通用しづらい

日商簿記3級や日商簿記2級の商業簿記は単元によっては暗記で乗り切れます。

似たような用語が多く覚えにくい単語は多々あるものの、完璧に暗記すれば用語が似ていても暗記でなんとかなるようにも思えます。

しかし工業簿記は暗記で乗り切れることはほとんどありません。

なぜ暗記が通用しづらいのか?
これは小学生の頃に勉強した算数を思い出すとイメージがつきやすいです。

算数の文章問題に近い

例えば分数の割り算で1/3÷1/2という問題。

1/2をひっくり返して1/3×2/1なので答えは2/3です。

これは「分数の割り算は割られる数は分母と分子をひっくり返して掛け算する」という方法さえ暗記していれば「なぜ分母と分子をひっくり返すのか」を知らなくても解けます。

では「1/3㎡の壁を1/2リットルのペンキで塗れます。このペンキ1リットルで濡れる壁の広さは何㎡でしょう?」という問題ならどうでしょう?

答えは1/3÷1/2=3/1×2/1=2/3で2/3㎡です。

同じ分数の割り算の問題ですが、文章問題にすると途端に解けない人が続出します。

工業簿記も同じです。

計算方法や計算式を覚えることはできます。しかし問題文からどのような式を作って計算すればよいのかがわからなければ問題を解くことができません

そのため算数の文章問題が苦手だった人は工業簿記が苦手になりがちです。

すべてが繋がっている

工業簿記のテキストは多少の違いはありますが、どのテキストも概ね以下の順番で構成されています。

  1. 費目別計算
  2. 個別原価計算
  3. 部門別個別原価計算
  4. 総合原価計算
  5. 工業簿記の財務諸表
  6. 標準原価計算
  7. 直接原価計算

どのテキストも同じ順番となっている理由は簡単で、この順番以外で工業簿記を勉強することは不可能だからです。

そのため費目別計算ができなければ個別原価計算はもちろん、総合原価計算は絶対できません。

総合原価計算ができなければ標準原価計算は100%意味がわかりません。

足し算や掛け算ができない人が連立方程式を解けないのと全く同じです。

逆に商業簿記は工業簿記に比べて単元ごとのリンクが薄いです。

例えばリース会計を全く知らなくても税効果の問題は解けます。

得意不得意が出やすい

工業簿記は得意な人と不得意な人に二極化する傾向にあります。

すべてが繋がっているため、どこかでつまづくと全てに躓いてしまうので、勉強しても勉強しても意味がわからなくなり「問題が解けない→わからない→苦手→キライ→キライだからますます問題が解けなくなる」という負のスパイラルに陥りがちです。

逆に言えばすべての単元が繋がっていることから1度コツを掴んでしまえばどんな問題でも比較的簡単に解けます。

私が本試験で工業簿記をほぼ満点を獲得しているのも、工業簿記を得意にしたからです。

工業簿記の勉強法

さて具体的に工業簿記の勉強方法を解説していきます。

先に言いますが裏技はありません。毎日少しずつ積み重ねていくことが絶対に必要ですが、積み重ね方にも色々な方法があります。

今回は私がおすすめする工業簿記の勉強方法を5つの点から解説します。

  • 問題を解きまくる
  • 図をマスターする
  • わからなくなったらはじめからやり直す
  • 単純総合原価計算をマスターする
  • 仕訳は最後で良い

問題を解きまくる

工業簿記を得意にする上でまず必要なことは絶対的な勉強量です。

すでに述べたとおり工業簿記は暗記が通用しづらく、算数の文章問題に近いものがあります。そのためまずは問題や単語に慣れることが大事です。

つまり問題を解きまくりましょう

勉強中は1日1問でも良いから解くようにすると良いです。

とはいえ、がむしゃらに解けば良いものでもありません。

具体的にどのように解いていくかが重要です。

図をマスターする

工業簿記には色々な図が出てきますが、これらの図をマスターできれば9割以上の確率で合格します。

具体的には

  • 勘定連絡図
  • シュラッター図
  • 差異分析のBOX

の3つです。

また特に重要なのは勘定連絡図です。

勘定連絡図がしっかり書けるようになれば、工業簿記は半分はマスターしたと言っても過言ではないです。

わからなくなったらはじめからやり直す

すでに述べたとおり工業簿記はすべてが繋がっています。

そのため例えば個別原価計算で躓いたのであれば、その前提となる費目別計算を理解していない可能性があります。

もし今勉強している単元がわからなければ、1つ前の単元に戻って問題を解いてみましょう。凹むほど解けない可能性があります。

1つ前の単元をしっかり理解できるようになったと思った上で、また戻ってみてください。

間違いなく理解力が違います。

単純総合原価計算をマスターする

工業簿記は乱暴に言うと発生した材料費や労務費を原価と在庫に分けて、ついでに差異分析をしているだけです。

そのため原価の集計、集計した原価を原価や在庫に分ける、差異分析をするの3つがすべて詰まった単純総合原価計算が工業簿記を理解する上では1番良い単元です。

工業簿記の勉強で迷ったら単純総合原価計算を繰り返し解いてください。

仕訳は最後で良い

日商簿記2級の第4問は工業簿記の仕訳問題です。

そのため仕訳をしっかり勉強したくなりますが、個人的に工業簿記における仕訳の勉強は後回しで良いと思っています。

工業簿記で必要なことは原価の集計、原価の計算、差異の計算ですのでまずは勘定連絡図などの図をマスターするほうが重要です。

そもそも図をマスターしてしっかり書けるようになっていれば、図を仕訳に翻訳するだけですので改めて仕訳の勉強をし直す必要がほとんどありません。

ですので最後に図を仕訳に翻訳する練習だけ少しすれば仕訳はすぐに書けるようになります。

工業簿記と商業簿記はどっちから勉強する?

一緒に勉強してください。

ネット等では「3級の延長線上にあるから商業簿記からやったほうが良い」や「工業簿記のほうが範囲が狭いから先に工業簿記をやったほうが良い」等の意見がありますが、私の意見は「同時にやるべき」です。

毎日両方やるというわけではなく、例えば今日は商業簿記、明日は工業簿記、明後日は商業簿記と交互にやる方法がおすすめです。

なぜなら日商簿記2級は商業簿記と工業簿記を同時に受験するからです。

また人間は忘れる生き物だからです。

同時にやると工業簿記のほうが先にテキストを一周できます。しかしすでに述べたとおり工業簿記はとにかく問題演習を繰り返すことが大事です。

そのため商業簿記は新しい単元を勉強中の最中に、工業簿記はひたすら問題演習を行って解答の精度とスピードをあげていきましょう。

本試験の解き方

工業簿記で本試験を解く上でのコツやテクニックはほとんどないです。

何度も問題演習を行っていれば、本試験は問題演習の延長線上にすぎません。

ただし気をつけるべき点がいくつかありますので紹介します。

  • 落ち着いて解く
  • 問題を解く順番と解答時間を予め決めておく
  • 解けないときは一旦別の問題を解く

落ち着いて解く

本試験は誰でも緊張します。緊張しないのは無理です。諦めましょう

逆に緊張するものだと思った上で本試験に挑みましょう。

緊張しているとケアレスミスやつまらないミスをしがちです。

ただ「気をつける」だけでは何も解決しないので、私が会計士試験のときにも行っていた2つのテクニックを紹介します。

  • 「はじめ」と言われたら一回深呼吸
  • 字をいつもより丁寧に書く

「はじめ」と言われたら一回深呼吸

これ以上の説明はありませんが、始まったらまずは一回深呼吸してゆっくり問題を開きましょう。

最初にこれをやるだけで少し落ち着きます。

字をいつもより丁寧に書く

私は字が汚いです。

そのため下書きの字が読めなかったり読み間違えたりすることがよくあったので、本試験では字を丁寧に書くようにしました。

本試験で1番緊張するタイミングは問題が配られてから試験開始時間までの数分間です。問題を解いていくとだんだん問題に集中してきて緊張は減っていきます。

なので字を丁寧に書いて、徐々に緊張を和らげていくようにしていました。

問題を解く順番と解答時間を予め決めておく

日商簿記2級は商業簿記と工業簿記の全5問を90分で解く必要があります。

そのため「第1問から解く、第4問から解く」等のルールと「第1問は15分、第4問は15分」と予め時間配分を決めておいてください。

順番と時間配分に正解はないので、過去問を解きながらご自身で最適な順番と時間配分を見つけてください。

なお時間配分を決める際は合計時間が80分になるようにしてください。最後の10分は必ず見直し時間として確保しましょう。

解けないときは一旦別の問題を解く

本試験で全く解けない問題が出ることがあります。その場合は一旦飛ばして他の問題を解きましょう。

事前に問題を解く順番と時間配分を決めると述べましたが、解けない問題が出たときは事前に決めた順番や時間配分にこだわりすぎずに柔軟な対応が必要になります。

おすすめテキスト

テキストを選ぶ際はネットの口コミだけではなく、必ず本屋で現物を確認しましょう。

細かい内容をみる必要はありません。

テキストのフォントやイラストの雰囲気等が好みに合うか、シンプルに見やすいと思ったかどうかが大事です。

自分が見にくいと思ったテキストを使うと挫折の原因になります。

見やすいと思ったテキストを使いましょう!

個人的におすすめしているシリーズは3つです。

  • みんなが欲しかったシリーズ
  • パブロフシリーズ
  • よくわかる簿記シリーズ

みんなが欲しかったシリーズ

みんなが欲しかったシリーズはカラーかつイラストが多用されており、簿記に初めて触れる人にはおすすめの一冊です。

図のフォントが手書き風で人によっては見づらいと思うかもしれませんが、難しい専門用語も極力使わないようにしており理解がしやすく、とっつきやすいテキストと言えます。

パブロフシリーズ

パブロフシリーズは漫画を多用している点と著者であるよせだ先生の下書きが特徴です。

説明が端的すぎる印象はありますのでガッツリ勉強する人には少し物足りないかもしれませんが、この下書きがおすすめポイントです。

簿記の問題を解く上では下書きが重要になってきますので、下書きの方法まで解説しているテキストはパブロフシリーズだけじゃないでしょうか。

よくわかる簿記シリーズ

よくわかる簿記シリーズは他のテキストと比べて論点をしっかり網羅している点が特徴です。

網羅的であるがために他のテキストと比べると人によっては少しとっつきにくいかもしれませんが、経理の仕事内容や実際の伝票についての解説もあるため、簿記取得→経理への転職を目指している人にはぜひおすすめしたい一冊です。

おすすめスクール

簿記のスクールを決める場合、申し込み前に必ず資料を取り寄せて詳細を確認しましょう。

簿記の講座は決して安くないですし、一度決めたら簡単に変えることはできません。

資料の取り寄せまで行ってしっかり吟味しましょう。

個人的におすすめしているのは3つです。

  • 大原
  • クレアール
  • スタディング

大原

  • 2022年の合格者実績は3級が1,567名、2級は1,428名と実績は十分
  • 経験豊富な専任講師からの指導
  • 費用はやや高め
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大原は古くから簿記の講座を開講しており、実績や知名度は文句なしです。

また大原は他のスクールと異なり、母体が学校法人です。

そのため講師は正真正銘の先生ですので、まさに教えることに特化した組織と言えるでしょう。

ため

私も簿記・公認会計士の講座はすべて大原の講義で取得しています。

一方で大原の講座の欠点としてお値段が若干お高めです(2023年8月時点)。

講座価格(教室通学)価格(映像通学)価格(Web)
3級・2級W合格コース98,800円98,800円81,200円
3級から学ぶ2級合格コース94,800円94,800円77,900円
3級合格コース29,800円29,800円24,500円
2級合格コース82,200円82,200円67,100円

クレアール

  • 非常識合格法を使った効率的な勉強
  • 価格はお安め
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クレアールの最大の特徴は「非常識合格法」です。

長年の受験指導のデータに基づいた「試験に出やすい」「試験に出る可能性がある」範囲、すなわち基本をしっかりと押さえれば簿記検定試験は合格が可能です。クレアールでは皆さんの「簿記検定試験合格」に照準を当て、ムダな部分を徹底的に省いて確実に合格を狙う学習指導を行います。

クレアール独自の「効率的学習法」非常識合格法

効率的な勉強という点ではクレアールは他の追従を許さないでしょう。

また、通信制のスクールにしては珍しく担任制を採用しており質問体制も十分です。

通信制ということもあり料金も大原に比べれば安価です(2023年8月時点)。

講座値段
3級・2級目標マスターWeb通信58,000円
3級・2級目標講義パックWeb通信50,000円
簿記3級パック16,000円
簿記2級パック53,000円
※オプションでDVDや答練資料は別途料金がかかります。

スタディング

  • 授業風景の録画ではなく、動画としての教材を作っているので動画がわかりやすい
  • スマホで勉強できるのでスキマ時間を使いやすい
  • オススメ3つの中で最安値
  • 受講内容等の質問ができない点はマイナス
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スタディングは解説動画がかなりわかりやすい点がおすすめポイントです。

簿記のスクールの動画は通常の講義を録画しただけの動画が多いのですが、スタディングは動画も教材と考え、テキストなしでも理解できる動画を作っています。

スマート問題集といってオンラインの問題集が用意されているのでスキマ時間にスマホを使って1問だけ問題を解く等の勉強ができる点もオススメです。

一方で、最大のデメリットとしてテキストや受講内容についての質問ができません。

また、好みの問題ですがテキストがWebのみ(紙のテキストがない)点も人によってはマイナスポイントかもしれません。

オンラインに特化しているだけあって価格もオススメ3つの中ではもっとも安いです(2023年8月時点)。

講座値段
簿記3級・2級セットコース21,800円
簿記2級合格コース19,800円
簿記3級合格コース3,850円

まとめ

  • 工業簿記は製造業やシステム業界で必須知識
  • 工業簿記は暗記が通用せず、すべてが繋がっているため得意・不得意がはっきりでやすい
  • 問題を解きまくり、図をマスターすることが工業簿記をマスターする1番の近道

日商簿記2級で工業簿記の配点は40点です。

そのため工業簿記で満点取れれば、商業簿記は半分の30点取れば合格できます。

工業簿記を得意科目にして日商簿記2級の合格に近づきましょう!

では、今回はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました!

工業簿記勉強法

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