日商簿記1級を取れば食いっぱぐれないって聞いたんだけど、本当?
本当に食いっぱぐれないか現役公認会計士の私が解説します!
- 日商簿記1級を取れば食いっぱぐれないのか検証
- 日商簿記1級は取る価値があるのか検証
<プロフィール>
- 日商簿記1級をはじめて受験したときは81点、足切りで不合格
- 高校卒業後に公認会計士試験を目指して受験に専念
- 当時最年少で公認会計士試験に一発合格
- 公認会計士試験の会計学をトップで合格
本記事を書いている私は日商簿記1級を2回目の受験時に91点で合格しています!
- 日商簿記1級を受験するか迷っている人
- 日商簿記2級を合格した人
- 日商簿記1級を勉強中の人
日商簿記1級を取れば食いっぱぐれないのは本当なのか?
若さor実務経験があれば、会社勤めの経理職としては食いっぱぐれない
本当は日商簿記1級だけで間違いなく食いっぱぐれないと言いたいところです。
しかし日商簿記1級だけで「もう絶対に食いっぱぐれない」と言うのは残念ながら日商簿記1級を過大評価しすぎです。
ただし日商簿記1級が価値のない資格とは全く思っておらず、いくつかの条件を満たせば食いっぱぐれることはないと思います。
その条件が「若さor実務経験」と「会社勤めの経理職としては」となります。
そもそも食いっぱぐれないとは?
日商簿記1級を持っていれば食いっぱぐれないのかを考えるにあたって、そもそも「食いっぱぐれない」とはどういう状態を言うのか考えたいと思います。
食いっぱぐれないとは、そのままの意味ですと「食べることに困らない」という意味になります。ただ、今の日本で食べることに困らないというのはレアケースかと思います。
食いっぱぐれないという言葉自体は辞書に載っているような言葉ではないので明確な定義はないですが、私の考える食いっぱぐれないとは
- 就職、転職に困らない
- 平均程度の年収、休暇、残業時間をキープできる職を選べる
の2つだと考えます。
就職、転職に困らない
例えば何十社も書類で弾かれる、そもそも応募条件を満たさず応募すらできない、転職サイトに登録してもエージェントに全く紹介してもらえないということがない状況を指します。
平均程度の年収、休暇、残業時間をキープできる職を選べる
いわゆるブラック企業ではなく、平均程度の給料をもらえ残業時間も月30時間未満程度である職を選べる状況を指します。
人によって定義は異なるかもしれませんが、本記事は上記2つを「食いっぱぐれない」の定義とします。
日商簿記1級を持っていれば経理職としては食いっぱぐれない
特に上場企業は求められる会計知識がかなり高度なため日商簿記1級の知識を持っている人であれば戦力としてかなり期待されます。
そのため、就職や転職に困ることは少ないと思います。もちろん高望みすればキリはないですが、少なくとも書類だけで弾かれる可能性は低いはずです。
また、上場企業=ホワイト企業とは言いませんが、最近は色々な法規制も厳しくなっています。特に上場企業はコンプライアンスがうるさいご時世ですので入社した会社がブラック企業である可能性は相対的に低いと思います。
ただし日商簿記1級を持っているだけでは厳しい現実が待っているかもしれません。
日商簿記1級だけでは厳しい。若さか実務経験は必須
経理職は実務経験がとても重視されます。
例えば
この2人であればBさんが採用される可能性が高いです。
私ならAさんを取りますが、社内ではCさんのほうがいいのでは?という意見が出る可能性があります。
それぐらい実務経験者が優遇されます。
一方で年齢が若い場合は実務経験はそこまで求めません。
日商簿記1級を持っている若い人であれば将来の幹部候補として積極的に採用を検討すると思います。
そのため日商簿記1級だけではなく実務経験か若さが必須となってきます。
日商簿記1級は意味ない? 日商簿記は2級まで取れば十分では?
実務経験か若さが必須であれば、日商簿記1級で食いっぱぐれないって半分くらい嘘だし、日商簿記は2級まで取れば良くない?
日商簿記1級にもぜひチャレンジしてほしいです。ただし・・・。
私は日商簿記1級の取得は推奨していますが、いきなり日商簿記1級に挑戦するのはオススメしていません。
これは日商簿記1級をやめとけと言われる理由と直結します。
なぜ日商簿記1級はやめとけと言われるのか?
ネット等の意見や私個人の意見を集約すると以下の2つです。
- 難易度が高い割にメリットが少ない(コスパが悪い)
- 中小企業ではオーバースペックで敬遠される
難易度が高い割にメリットが少ない(コスパが悪い)
日商簿記1級は難易度の高い試験です。
合格率は10%程度ですが、合格者のうち半分は公認会計士や税理士を目指している人なので実質の合格率は5%ぐらいです。
また必要な勉強時間は1,000時間近くと言われており、国家資格である社労士と同等の勉強量が必要です。
難易度が高いことは疑いの余地がないですが、一方で日商簿記1級を取得したとしても転職では日商簿記2級持ちの実務経験者が優遇されます。
また日商簿記は民間資格で士業等でもないため、日商簿記1級を持っていても独立開業は現実的ではありません。
結局、難易度が高いわりには実務経験者が優遇されてしまうという現実が日商簿記1級を辞めとけと言われる最大の理由だと思います。
中小企業ではオーバースペックで敬遠される
日商簿記1級は高度な会計知識を勉強しますが、非上場会社に代表される中小企業ではそこまで高度な会計知識は求められません。
非上場会社は四半期ごとの決算発表も不要ですし、監査法人の監査も不要なことが多いので高度な会計知識はむしろ「小難しいことをごちゃごちゃいううるさい奴」と思われかねません。
結局、日商簿記1級を取る価値はあるのか?
価値はある!
ただし取るべき人が限定される!
日商簿記1級を取るべき人は以下のいずれか2つに該当する人です。
- すでに経理職に就いている人
- 20代前半の人
すでに触れたとおり、経理職は実務経験者が優遇されます。一方で若い人は実務経験は当然求められずもともとのポテンシャルを期待されます。
そのため、すでに経理職に就いている方はぜひ目指してほしいと思います。
昇格やより良い会社への転職等のキャリアアップに役立つこと間違い無しです。
また20代前半の若い人は日商簿記1級を持っていれば経理職には100%就けます。
ですので、経理経験のない人が経理を目指すためには
実務経験がない場合は日商簿記2級を取得しないと門前払いの可能性が高いです。
転職して実務経験を積みましょう。
実務経験+日商簿記1級が最強です。
より良い会社、昇格などいろいろな道があります。
このステップがベストです。
日商簿記1級を取るべき人は限定されます。
逆に言えば「取るべき人になればいい」だけです。
日商簿記1級の勉強方法は?
すでに述べた通り、日商簿記1級は1,000時間近くの勉強時間が必要です。
そのため合格するまで最短で半年、長ければ1年近くかかります。
本ブログでは日商簿記1級の難易度やスケジュールの決め方、科目別の勉強方法を以下の記事にまとめていますのでぜひご覧ください。
日商簿記1級は独学で合格可能なのか?
日商簿記1級に独学で合格できる人は勉強に慣れている人です。
勉強に慣れている人ってどんな人かについては以下の記事にまとめていますのでぜひご覧ください。
また当ブログ一押しの大原の日商簿記1級講座を以下の記事でまとめていますのでこちらもぜひご覧ください。
まとめ
- 日商簿記1級は若さか実務経験があれば経理職としては食いっぱぐれない
- 未経験者はまず日商簿記2級を目指す
- 経理職に就いたうえで日商簿記1級を目指す
日商簿記1級は難易度の高い資格です。
そのため誰にでも簡単におすすめできる資格ではありませんが、実務経験を重ねつつ取得すれば経理職として食いっぱぐれないことは間違いないでしょう。
将来のキャリアを考える上で取得を前向きに考えれば良いと思います。
では、今回はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました!