監査法人から事業会社経理に転職して変わったこと

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監査法人と事業会社
受験生

監査法人と事業会社だとやっぱりいろいろと違う?

ため

監査法人と事業会社の違い、私の実体験を解説します!

本記事の内容
  • 監査法人と事業会社のいろいろな違いを解説
この記事を書いた人
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ため

<プロフィール>

  • 公認会計士試験合格後、13年間監査法人に勤務
  • 監査法人退職後はコンサル会社に入社
  • コンサル会社を辞め、現在はとあるプライム上場会社の財務経理部長

筆者は監査法人退職後、現在はプライム上場会社の財務経理部長です。

この記事はこんな人におすすめ!
  • 公認会計士を目指すことを決意した人
  • 公認会計士を目指すか迷っている人
  • 公認会計士試験を勉強中の人
  • 監査法人を退職するか迷っていりる人
目次

変わったこと10選

監査法人から今の事業会社に転職して変わったことはたくさんありますが、今回はその中でも10個に絞って説明します!

  1. 会計に関わることが相対的に減った
  2. 一緒に仕事をする人は会計士ではない
  3. 勉強の仕方が変わった
  4. 情報収集方法が変わった
  5. 会計知識がない人と話すことが増えた
  6. 外出しなくなった
  7. 給与体系が変わった
  8. 勤務時間が減った
  9. CPD取るのが大変になった
  10. 会計士協会の会費負担が重くなった

0.監査法人と事業会社の基礎情報

本題に入る前に、私が所属していた監査法人と現在勤めている事業会社の基礎情報について身バレしない程度に軽く触れたいと思います。

監査法人事業会社
Big4のどこか
東京事務所所属
主に国内企業の監査とIPOを担当
スタッフで入社し、退職時はマネジャー
プライム上場企業
売上規模や業種は内緒
財務と経理合わせて9人が在籍(自分含む)
経理次長として入社し、現在は財務経理部長

1.会計に関わることが相対的に減った

監査法人事業会社
主な仕事は【会計】監査
内部統制も財務報告(=会計)に関する内容がメイン
総務、人事的な仕事が増えた
財務報告以外に関する統制も気にかけている

私の現在の役職は財務経理部長なので、もちろん本業は会計、資金周りや経理に関する業務がメインです。

しかし会計に関する仕事以外にもかなり携わるようになりました。

例えば人事評価制度の見直し、オフィスセキュリティの検討、新規ビジネススキームの検討等々・・・(ビジネススキームの検討は会計と全く無関係というわけではないですが)。

また、監査法人時代は内部統制とはすなわち財務報告に関する統制でした。内部統制の基準が変わって、財務報告以外の報告事項も対象になってきますが、要は外部への何らかのディスクローズをするための統制が対象です。

しかし今では財務報告以外の統制もかなり気にするようになりました。

最近もっとも意識しているのは社員の不正を事前に防ぐ=不正の機会を奪うための統制をどうするかという点です。

不正があったことはないのですが、会計の知識がない人は悪意なく会計不正となるようなことをやりかねないと最近思うようになったので、事前防止策をとても重視するようになりました。

皮肉なことに監査法人時代よりも今のほうが不正防止について意識するようになっています。

また監査法人時代は発見統制に重きを置いていましたが、最近は予防統制に重きを置くようになりました。

社内にいるか社外にいるかで、統制に対する感覚値はかなり変わったと思います。

2.一緒に仕事をする人は会計士ではない

監査法人事業会社
社内は大半が会計士社内に会計士はいない

監査法人にはたくさんの会計士がいます。横を見ても前を見ても後ろを向いても会計士がいるし、石を投げれば会計士に当たります。

しかし通常の事業会社では社内に会計士はいません。

この当たり前の事実について、頭ではわかっているのですが慣れるまでは少し時間がかかります。

何気なく会計処理の話や最近の会計や税務トピックを話しても全く通じないという状況が入社当初は新鮮でした。

また会計士が当たり前のように日常会話で使う「回収可能性」や「減損」等の単語が全く通じないのは地味にツラかったです。

ため

今振り返ると会計と関係ない会話で会計用語使うってやっぱちょっと、、、会計士って変な人多いなって、、、思ったりします笑

3.勉強の仕方が変わった

監査法人事業会社
ほしい研修はだいたいタダで受けられる
研修はほぼ強制なので受動的
自ら勉強する
本当に見たい研修は有料なことも多い

監査法人では、毎年の会計基準や監査基準の改正、有報の今年のトピック等の研修が豊富です。会計や監査に関する研修であればeラーニングが豊富にあるため、情報収集や勉強の元ネタに困ることはありません。

そして当たり前ですが監査法人内の研修は監査法人にいれば無料で受講可能です。

一方で今の会社はお世辞にも研修体制が充実しているとは言えません。

仮に研修があっても経理や会計に関する研修は皆無です。むしろ最近はその手の研修をお前がやれと言われているぐらいです。

また、外に目を向ければ研修はいっぱいあるのですが気になる研修はだいたい有料です。無料のものもありますが、無料のものはシステム会社やコンサル会社が営業のためにやっているので、その後の営業電話が鬱陶しかったりします。

研修体制で言えば監査法人にいたほうが圧倒的に恵まれていました

しかし、監査法人時代と今の会社に入ってからを比較すると今のほうが勉強していると自信を持って言えます

監査法人にいるとダメな学生のように勉強が受動的になってしまい、本当の意味で勉強していたことはほとんどなかった気がします。

今の会社ですと誰も勉強を強制してこないので、危機感が煽られることや自分がやりたい勉強を好きにできるので勉強の仕方が受動的から能動的に変わったのは大きな変化です。

4.情報収集方法が変わった

監査法人事業会社
情報は放っておいても入ってくる
情報の取捨選択が大変
情報は積極的に取りに行かないと入ってこない
情報の正確性や網羅性は常に気を配る

研修体制と似ていますが、監査法人にいると基準の改正等はメールや研修でフォローされますので必要な情報は勝手に入ってきます。

むしろ不要な情報もいっぱい入ってくるのでそれらの取捨選択がめんどくさかったです。

一方で、監査法人から外に出ると基準の改正等は誰も教えてくれません

新聞、経営財務、SNS、有識者のブログ等から情報を常にかき集めるアンテナを張っておく必要があります。

また情報源がSNSやブログ等だとどうしても情報の正確性や網羅性に疑いを持つことが必要になるので、ASBJや国税庁のHP等の原文に戻ることが多くなりました。

監査法人時代もなるべく原文を見るようにはしてましたが、さすがに監査法人のオフィシャルな解説を疑うことはしませんでした。。。

5.会計知識がない人と話すことが増えた

監査法人事業会社
社内は大半が会計士
クライアントで話す人の大半は経理の人
経理以外の部署はそれなりの役職の方が出てくる
現場の若手と話す機会が多い
経理以外の現場の人は会計知識はほぼない

監査法人の中にいる人の大半は会計士です。

またクライアントで主に話す相手は経理の方が中心です。営業の方と等と話す場合でも部長職以上のそれなりの役職の方と面談することが多いので、知識の差はあれど一定水準の会計の知識はある方が大半でした(たまにゼロの人いましたけど)。

一方で今の会社では営業やその他の部署の現場メンバーと話すことも少なくありませんが、彼らの大半は会計知識はあまりないです。人によっては発生主義の概念すら怪しいです。

今の会社に入って3年以上経つので、さすがに慣れましたが最初は会話が通じないこともあったためなかなかのストレスを感じるときがありました。

6.外出しなくなった

監査法人事業会社
ほぼクライアントの会社に訪問している
オフィスに戻るのは週1ぐらい。場合によっては月1
99%オフィスにいる
久々の外出はちょっとテンション上がる

監査法人はクライアントへの往査が通常です。1日自社のオフィスにいて良い日は稀で、そういう日はだいたい審査が複数社入っているとか、人事考課の会議があるとかシンドい日でした。

一方で今の会社では1年間の大半をオフィスで過ごします。自らの席と会議室とトイレを行ったり来たりする毎日です。

銀行への訪問等の一部の取引先を除いて、大体は先方がこちらのオフィスに出向いていただくことが多いので他社に行くことも激減しました。

またオンラインミーティングも増えたので名刺を配る機会が激減しました。

そのため年数回しかない、他の会社への訪問や外出はテンションが上がるようになりました。監査法人時代には決してなかった感覚です。

7.給与体系が変わった

監査法人事業会社
賞与の影響が大きい賞与の影響が小さい

監査法人時代は年や評価にもよりますが年収に対する賞与の比重が大きかったです。

一方で今の会社は年2回の賞与はありますが年収に対する比重は小さくなりました。代わりに月給が監査法人時代より増えています

給与体系は会社にもよりますし、成果として賞与が大きくもらえるほうがテンションは上がりますが個人的には毎月のお給料として安定的に入ってくるお金が増えた今の方が好きです。

8.勤務時間が減った

監査法人事業会社
定時は7時間
定時帰りは稀
定時は8時間
大体定時帰り

定時だけで言えば監査法人は7時間、事業会社は8時間ですので月20時間、年間で240時間は監査法人のほうが定時が少ないです。

でも勤務時間は監査法人時代のほうが多かったです。つまり残業時間が段違いでした。

監査法人を辞める直前はマネジャーという管理職になっており、残業時間はロクに管理していなかったので正確な残業時間はわからないのですが、平均すれば月40時間前後だったと思います。これでも監査法人時代は残業が少ない人として有名だったのですが・・・。

今では月の残業時間は平均すると月10時間は切っています。

しかも本決算の繁忙期に月20~30時間の残業をした結果としての年間平均が10時間未満ですので、他の月はほぼ定時です。四半期決算はほとんど定時帰りしてます。

9.CPD取るのが大変になった

監査法人事業会社
メリット気づいたら溜まっていたデメリット毎年ギリギリ

CPDとは公認会計士に義務付けられているCPD(継続的専門能力開発)制度のことであり、簡単に言えば「専門家なんだからちゃんと自己研鑽しろ」という精度で、一定単位を取得しないと最悪の場合公認会計士の資格が取り消しになります。

監査法人時代は社内の必修研修を受講したり、研修講師もやっていたので必要単位40単位に対して取得単位が100単位を超えていたりと本当に気づいたら取得していました。

今は意識して取らないと、単位が全然足りないので常に気を張っています。

「自主的に勉強するようになった」と書きましたが、CPD単位を取得できる研修や勉強は定められていますので、いくらTOEICの勉強を頑張ってもCPDは1単位もくれません。
CPD単位が付与されている研修でも、例えば「インドネシアの税制」という研修に全く興味はないので、単位のためだけに興味のない研修を受講するのも時間がもったいないし・・・と四苦八苦です。

10.会計士協会の会費負担が重くなった

監査法人事業会社
監査法人が払ってくれる自腹

毎年10万円ぐらいの年会費がかかるので、自腹を切るのが本当に厳しいです。独立されている方は経費で落とされるので税金で多少緩和されるのかもわかりませんが、単なるサラリーマンの私にとっては、Amazonプライムの年会費と同じ扱いです。

事業会社の中には会社が払ってくれるところもあるみたいですので本当に羨ましいです。

ため

隙あらば会社の経費に入れてやろうと毎年試みてるのですが、大体バレて却下されてます。。。

結局どっちが良い?

ここまで監査法人時代と今の事業会社との違い10選を書いてきました。

受験生

結局どっちが良い?

ため

どっちも良いところがあれば悪いところがある

労働時間だけで見れば間違いなく今の会社のほうが良いです。
しかし研修体制の充実は監査法人のほうが圧倒的に上回っていますし、会計士協会の会費負担も大きいです。

会計知識のない人と話すことは話し方の勉強になりますが、一方で会計士同士で複雑な会計談義をするのも勉強になります。

転職活動で言われがちですが、どちらが良い悪いではなく、何を重視するか何をやりたいかに尽きると思います。

ため

ただ、これだけはハッキリ言えますが今の会社を辞めて監査法人に戻る気は一切ないですね。

今の会社の居心地が良いのもありますが、今の監査法人の人たちを見ていると本当に大変そうで、私がいたとき以上にネガティブな声が目立つのでちょっと行きたいと思わないです。。。

まとめ

  • 監査法人も事業会社も良いところも悪いところもある
  • どっちが良い悪いじゃない

監査法人はBig4であれば似たようなところが多々あると思いますが、事業会社は上場・非上場で全然違いますし、プライム上場といってもピンキリだと思います。

本記事はあくまで私の経験談ですので、こういう会計士もいるんだなぐらいの思ってもらえれば幸いです。

では、今回はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました!

監査法人と事業会社

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