簿記は必要なくなる?AIに取られる?必要性は? 公認会計士が独自の視点で解説!

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簿記は必要なくなる? アイキャッチ
ぺんぎん

簿記が必要なくなるって噂を聞いたんだけど本当?

ため

監査法人、会計コンサル、事業会社の経理部を渡り歩いた公認会計士の私が独自の視点で徹底的に検証します!

この記事はこんな人におすすめ!
  • 簿記の勉強を始めるか迷っている人
  • 簿記を勉強中の人
  • 経理への転職を目指している人
この記事を書いた人
【背景】デフォルト
ため

<プロフィール>

  • 高校卒業後に公認会計士試験を目指して受験に専念
  • 当時最年少で公認会計士試験に一発合格
  • 某大手監査法人に13年間所属
  • 会計コンサルに1年間所属
  • 現在は事業会社経理部の中間管理職
目次

結論:簿記が必要なくなることはない!

私は簿記が必要なくなることはないと考えています。

ただし、10~20年前に比べると必要となる場面・知識が変わってきています。

今後必要な知識は業務構築・決算処理・分析と高度化していきます

単純な伝票入力・集計業務はなくなります

日常業務はいらない
決算、業務構築、分析で簿記の知識が必要

具体的に簿記の知識が必要なくなると言われている理由を考えると、結局は単純な伝票入力や集計業務がなくなるという事実しか表していません。

ため

具体的に分析していきます

「簿記が必要なくなる」よくある理由4つ

「簿記が必要なくなる」と言われる理由はいくつかありますが、要約すると4つです。

  1. 会計システムの進化
  2. 自動化
  3. ペーパーレス
  4. AIの進歩

順番に簿記がなくなる理由を具体的に考えていきます。

会計システムの進化

会計システムの進化により、伝票入力や単純な集計は簿記の知識がなくても簡単にできる

最近の会計システムは本当によくできていて、簿記の知識なんてほとんどなくても会計システムに伝票を打ち込むことは簡単にできます。

また、打ち込んだ伝票もボタンひとつで集計してくれますので総勘定元帳の作成や合計残高試算表の作成も簡単です。

そのため、会計システムが進化していけば簿記の知識がなくても伝票入力も可能であり、簿記の知識が必要なくなります

自動化

伝票入力や集計はどんどん自動化されていき、簿記の知識がなくてもシステムが作業をおこなってくれる

例えば経費精算システムに入力した内容を自動で会計システムに登録・伝票を起票してくれる、毎月定額の経費は何もしなくても自動で伝票を起票してくれる等々・・・、会計処理の自動化はどんどん進んでいます。

そのため、自動で行ってくれるのであれば、そもそも人間が作業することはなくなるので、簿記の知識が必要なくなります。

ペーパーレス

ペーパーレスにより、請求書発行業務がなくなる=経理が必要なくなり簿記も必要なくなる

経理のよくある業務で請求書の封入・発送業務や会計処理に利用する書類の保管作業があります。

この記事を書いている2022年3月現在だと、↓のCMをよく見かけます。

ペーパーレスにより、請求書の封入・発送はもちろん書類の保管作業がなくなり、データで管理すればOK。もっと進めばシステム的に自動で送付・整理・保管まで全部やってくれます。

そのため、経理の作業が不要となり、結果簿記の知識が必要なくなります。

AIの進歩

会計処理や分析作業をAIが行ってくるので、簿記の知識が必要なくなる

2013年のオックスフォード大学の研究発表2015年の野村総研の日本版レポートで、AIの普及で失われる仕事の上位に「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」「経理事務員」が挙げられました。

AIの進歩はめざましく、経理の業務もAIにどんどん代替されることが想定されます。

そのため、経理の業務はAIが行うことになり、簿記の知識は不要になっていきます。

よくある理由のまとめ

今回紹介した4つの理由、私はすべて正しいと思っています。

ぺんぎん

え、じゃあやっぱ簿記っていらなくなるの?

ため

最初に説明したとおり、簿記の知識が必要となる場面が変わってきていると考えています。

簿記の知識を使い続ける場面:経理編

日常業務の業務フロー構築

日常業務の自動化を行うために、簿記の知識が絶対に必要!

簿記がなくなる理由のひとつに「自動化」を挙げました。

例えば、コンビニのレジで登録した情報を会計システムが自動で売上を計上してくれる場合に、自動化するために考えなければいけないことを考えてみます。

最終的な仕訳を決める
簿記の知識が必要!

現金売上であれば 現金/売上・クレジットカードであれば売掛金/売上等

消費税率を分ける方法を決める
簿記の知識が必要!

10%・8%(軽減税率)・0%(収入印紙等)を区別

売り上げた商品の分類分けを決める(アイテム別、飲料・化粧品等の分類別、メーカー別等々・・・)
簿記の知識が必要!

売れ筋商品等の分析を行うために必要となる分類を洗い出す

例示として3つ挙げましたが、すべて簿記の知識が必要になってきます。

今回は売上にしぼりましたが、実際は売上が上がれば在庫(商品)や売上原価の計算も考える必要があります。

売上が計上されると在庫が減って、売上原価も計上される。
簿記を勉強していれば当たり前の話ですが、売上しか気にしない人がびっくりするほど多いです。

ぺんぎん

自動化の仕組みを作るのは人だもんね・・・。

ため

自動化したあとは簿記の知識が不要になるかもしれませんが、そもそも自動化するために簿記の知識が必要になります。

例外処理

例外処理は絶対に残る
例外処理を行うために簿記の知識が必要不可欠!

システムの自動化やAIによる業務の代替は日常の業務であれば、人間よりも早く正確です。

ただし、経理に例外処理はつきもので、システムやAIは過去にない処理や例外的な処理に弱いです。

例えば、売上の対価は通常現金・クレジットカード・銀行振込の3つのみのはずが、うっかり手形をもらってきてしまった場合を考えてみます。

そもそも、日常業務では手形をもらうことを想定していないので、おそらく会計システムに受取手形の勘定科目すら登録されていない可能性があります。

また、伝票(仕訳)も受取手形/売上・普通預金/受取手形の2つが必要になりますが、システムに登録されている仕訳ではなく、AIも過去発生したことない仕訳で学習していないので受取手形に関する仕訳計上は不可能です。

ぺんぎん

簿記の知識があれば、受取手形の仕訳って難しくないけど、普段や過去にない仕訳をシステムで自動で計上は無理だね・・・

ため

例外処理は人間が対応することになりますので、簿記の知識は絶対に必要です。

決算処理

決算処理は将来を見積もる作業が重要。
見積もり作業に簿記の知識は絶対に必要!

将来を見積もる作業は、例えば以下のような作業です。

棚卸資産の評価

将来商品がいくらで売れるか見積り、簿価より高い金額で売れない(原価割れする)場合は評価損を計上する

固定資産の減損

固定資産を利用した結果得られる将来キャッシュ・フローを見積り、割引後将来キャッシュ・フローが簿価を下回った場合に減損損失を計上する。

貸倒引当金

対象となる債権がいくら回収できるか見積り、回収できない分は貸倒引当金を計上する。

ぺんぎん

システム上に必要な情報を入力して、将来の見込みをシミュレーションすることとかはできるんじゃない?

ため

シミュレーションのために必要な情報を決めたり、情報が正しいかという判定に簿記の知識が絶対必要です

ぺんぎん

減損の将来キャッシュ・フローなんて知らないとホントに意味わからないもんね・・・。

ため

それにシミュレーションを前提に最後のジャッジは人間が行うことになりますが、ジャッジにも当然簿記の知識が絶対必要です

分析

財務数値の分析に簿記の知識は絶対必要!

ぺんぎん

分析こそAIとかの得意分野でなくなっていく作業じゃないの?

ため

一義的な分析はできると思いますが、本当の意味での分析はまだまだ難しいと思います。

具体的な分析の例
分析
売上が去年と比べて減っている

地区別に売上の増減を分析する

分析
関東地区の売上が去年と比べて半分になっている

関東地区の売上を製品別に分析する

分析
関東地区は主力製品Aの売上が大きく減っていた

主力製品Aの売上を単価と販売個数に分けて分析する

分析
主力製品Aは値上げしたので、販売個数が減っていることがわかった

主力製品Aの他の地区の売上の増減を分析する

分析
主力製品Aの販売個数が減っているのは関東地区のみだった

他の地域で主力製品Aの販売個数が下がっていない理由を調査する

分析
関西地区の主力製品Aの売上のほとんどは営業マン甲の成果だった

関西地区以外も調査する

分析
関東以外の地域も主力製品Aは一部の優秀な営業マンが値上げについての説明を丁寧に行い、販売個数を維持していた

関東地区の主力製品Aの売上を回復する方法を考える

分析
各地区の優秀な営業マンを関東地区へ派遣ないし、関東地区の営業マンに対して優秀な営業マンが研修教育を行うこととした
ぺんぎん

え、売上が減っているってだけでここまで考えるの?

ため

そもそも増減分析は増減の理由がわかるだけじゃ意味がなく、原因を把握した上で次に行うアクションを決定することがとても重要です。

具体例を見てもらえればわかるとおり、次のアクションを決めるまでの具体的な分析は簿記の知識がなければ絶対に不可能です。

なお、将来的にはAIの分析でも

  • 売上が減っている
  • 関東地区のみ売上が減っている
  • 主力製品Aの販売個数が減っている
  • 一部の優秀な営業マンのみが売上を伸ばしている

ぐらいまではできるかもしれません。

しかし会計のプロフェッショナルである公認会計士が集まっている監査法人ですら、異常な増減がある項目を自動で抽出するAIを開発中という状況です。

AIによる分析が実務にまで入り込むのはまだまだ当分先かと思います。

監査・税務署・銀行対応

監査法人、税務署、銀行への対応がシステム化されることはほぼありえません!

対応には当然簿記の知識が必須です!

監査法人、税務署、銀行の対応のうち、資料の提出等はシステム化されるかもしれませんが、結局のところ3者への対応はイコール交渉です。

監査法人対応

会計処理の交渉がメインです。

特に決算処理の説明で紹介した見積り周りは監査法人と相談・交渉しながら会計処理を決めることになります。

税務署対応

税務処理、つまり税金の納付が必要か否かの交渉がメインです。

税務調査が入ったときに、交渉次第で税金が追加で発生する・しないが変わってきます。

銀行対応

融資の交渉がメインです。

銀行に融資をしてもらうためには、会社の業績や将来性を説明しますが、数値を用いた説明が必要となります。

ぺんぎん

どの交渉も簿記の知識がないと難しそうだね・・・

簿記の知識を使い続ける場面:経理以外編

ぺんぎん

経理では確かに簿記の知識が必要そうだけど、経理と関係ない人はどうだろう?

ため

簿記の知識は色々な場面で使えますので、代表例を簡単に紹介します。

営業

売上や利益の分析に簿記の知識が使える!

経理編:分析の項目で書いた分析の内容がそのまま使えると思います。

投資

株式投資をする際に、投資先の企業を分析するために簿記の知識は必須です!

ぺんぎん

決算書を読むためには簿記の知識がないと売上が増えてるとか利益が増えてるぐらいしかわからないもんね・・・。

確定申告

確定申告も簿記の知識があればぐっと楽になります!

確定申告は税金の納付・還付のために、自身の所得を算出する作業ですが、所得の算出方法は簿記で必要な知識と根本的な考え方は変わりません

転職

経理への転職を目指すのであれば、簿記の知識は必須です!

まとめ

  • 簿記が必要なくなることはありえない!
  • 単純な伝票入力は自動化がすすむ
  • 簿記の知識は業務フローの構築や関係者との交渉等に必要!

日商簿記を主催する日本商工会議所もおそらく私と似たようなことを考えており、日商簿記の特に2級の試験範囲を大幅に見直したのだと思います。

日商簿記2級の難易度上昇やについての分析や簿記を面白くするための勉強方法も解説してますので、ぜひご覧ください。

では、今日はここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました!

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