簿記ってなに? 高校生でも取れるの? 取った方がいいの?
そんな疑問にすべてお答えします!
- 簿記とはなにか解説
- 高校生が目指すべき簿記検定と難易度を解説
- 簿記取得のメリットを解説
- 簿記の勉強方法を解説
<プロフィール>
- 高校生時代はほとんど勉強せずに大学受験全滅
- 高校卒業に一念発起して公認会計士を目指して受験に専念
- 当時最年少で公認会計士試験に一発合格
本記事を書いてる私は公認会計士という簿記や会計のプロフェッショナルです!
そもそも簿記ってなに?
会社は普段から商品を買ったり、経費がかかったり、従業員に給料を払ったりと色々な取引が行われています。
これらの取引をルールに従って記録、取りまとめ、取りまとめた結果を分析する学問が簿記です。
「簿記を勉強する」ことは取引を記録するためのルールや記録された取引を読み解く力を学んでいくことになります。
一般的には「簿記を勉強する」は【簿記の資格を取る】とほぼ同じ意味で使われることが多いです。
簿記の検定は3種類ある
一言で【簿記の資格】と言っても、簿記の資格は3種類あります。
- 日商簿記
- 全経簿記
- 全商簿記
一般的に簿記の資格と言われると、日商簿記を指すことがほとんどです。
日商簿記
- 日本商工会議所が主催している
- 「簿記」と言われたら一般的には日商簿記
- 1級、2級、3級、初級の4つに分かれる
とりあえず簿記と言えば日商簿記です。
簿記を勉強する際に、どの試験を受けるか迷った場合は日商簿記を受ければ間違いありません。
全経簿記
- 全国経理教育協会が主催している
- 会計や経理の専門学校の学生向けの試験
- 上級、1級、2級、3級、基礎の4つに分かれる
全経簿記は日商簿記の次に知名度がある検定です。
全商簿記
- 全国商業高等学校協会が主催している
- 商業高校の生徒向けの試験
- 1級、2級、3級の3つに分かれている
全商簿記は商業高校の生徒に向けて実施されている試験です。
高校生向けのため、日商と全経に比べると難易度が低めです。
高校生が目指すべき検定は?
日商簿記2級を目指す!
特別な理由が無ければ、目指すべきは日商簿記2級一択です。
理由は3つあります。
- 知名度は日商簿記が圧倒的
- 受験者数は日商簿記が圧倒的に多い
- 日商簿記2級は簿記を知っている証明になる
知名度は日商簿記が圧倒的
その証拠にGoogleで「簿記」と検索すると最初に日商簿記のサイトが表示されます。
また全経簿記は経理の専門学校、全商簿記は商業高校の高校生向けと対象が学生向けに限定されています。
高校生が受験する場合、学生向けの全経と全商の受験が良いように見えます。しかし日商簿記は社会人も受ける試験ですので、高校生のうちに取得しておけば進学や就職で圧倒的に有利になります。
受験者数は日商簿記が圧倒的に多い
種類 | 受験者数 |
---|---|
日商簿記 | 287,716人 (2022年の受験者数。1級、2級、3級の受験者。11月末時点で公表数値から筆者独自集計) |
全経簿記 | 28,069人 (2022年の受験者数。1級、2級、3級、基礎の合計) |
全商簿記 | 175,846人 (2021年の受験者数) |
日商簿記は全経簿記の10倍以上の受験者がいます。
また日商簿記は全商簿記よりも10万人以上も受験者数が多いです。本記事執筆時点では11月の統一試験の受験者数が公表されておらず集計していませんので、受験者数は年間30万人以上いることになります。
受験者数が多い、すなわち人気のある簿記検定は日商簿記であることは一目瞭然です。
それだけ価値のある資格が日商簿記です!
日商簿記2級は簿記を知っている証明になる
日商簿記2級は「経営管理に役立つ知識として、企業から最も求められる資格の一つ」です。
日商簿記HP
日商簿記3級は簿記の基礎レベルですので「簿記を知っている」と言うには少し物足りません。
逆に日商簿記1級は難易度が高すぎて、高校生が取得すると新聞が取材に来るレベルです。
そのため、簿記の取得資格を目指す人は日商簿記2級を目標として勉強することがベストです。
簿記の難易度は?
合格率が低ければ難易度が高いですし、必要な勉強時間が多ければ多いほど難易度が高いと言えます。
日商簿記の級別の合格率と必要な勉強時間は以下の通りです。
級 | 合格率 | 勉強時間 | 勉強期間 |
---|---|---|---|
1級 | 約10% | 約1,000時間 | 9ヶ月~12ヶ月 |
2級 | 約20% | 約500時間 | 6ヶ月~8ヶ月 |
3級 | 約40% | 約100時間 | 2ヶ月~3ヶ月 |
日商簿記3級の難易度は?
合格率も40%程度と1,2級に比べれば高めです。
また日商簿記3級はCBT方式を採用しており、基本的にはいつでも受験が可能です(年末年始等、受験ができない期間もあります)。
CBTとは「Computer Based Testing(コンピュータ ベースド テスティング)」の略称で、コンピュータを使った試験方式のことです。
CBTの多くが1年間を通じて好きな日時で受験できる上、試験会場となるテストセンターも47都道府県のすべての県に国内最大300ヶ所以上の会場※があり、従来の紙試験に比べると受験者の利便性や公平性は飛躍的に向上します。
CBTとはなんですか?
そのため簿記をはじめて勉強する人の入門編としてピッタリな資格になります。
一見、日商簿記3級は合格率や必要な勉強時間を見れば易しい試験に思えますが、決して侮ってはいけません。
日商簿記3級でははじめて簿記に触れるため、今まで聞いたことのない用語や考え方が理解できなかったりします。
慣れるまでは苦戦することもありますので、油断せずに勉強することが重要です。
日商簿記2級の難易度は?
合格率は20%程度と3級のおよそ半分です。
また日商簿記2級は簿記を勉強する人が必ず苦労すると言われている連結会計等の難しい論点が試験範囲に入ってくるため、なかなかの難易度になっています。
日商簿記2級の具体的な難易度は別記事にまとめてますので、ぜひご覧ください。
なお、日商簿記2級もCBT方式を採用しており、基本的にはいつでも受験が可能です。
日商簿記1級の難易度は?
すでに触れましたが、日商簿記1級は高校生が合格すれば新聞が取材に来るレベルで難しいです。
そのため、将来公認会計士や税理士等の会計系資格の最高峰を目指している人以外は無理に受験しないほうがいいです。
日商簿記1級の勉強をする時間を使って、別の勉強をしたほうが将来の選択肢が広がります。
簿記を取得するメリットは?
進学と就職に有利です。
簿記取得のメリットは色々ありますが、高校生にとってもっとも恩恵が大きいメリットは進学と就職に有利になる点です。
進学のメリット
日商簿記を主催している日本商工会議所のHPで、日商簿記を取得していることにより優遇される大学の一覧が公表されております。一覧に載ってる大学を目指している高校生であれば日商簿記の勉強を始めない理由はないでしょう。
一方で日商簿記の勉強は通常の大学受験の勉強にはほぼ役に立ちません。
従来は共通テストの科目に簿記・会計があったのですが、2024年実施の共通テストを最後に簿記・会計が廃止されることが決まっています。
就職のメリット
日商簿記が力を発揮するのは進学よりも就職のほうが大きいです。
特に経理系の仕事であれば日商簿記2級の取得が必須という求人もあるぐらいです。
実際に日本の資格・検定の「2022年版! 就職に役立つ資格・検定ランキングTOP30」という記事によれば日商簿記は就職に役立つ資格堂々との第1位は日商簿記でした。
社会人になってから、日商簿記の勉強を始める人もいっぱいいますので高校生のうちに取得しておけば就職で有利になることは間違いありません。
簿記の勉強方法やおすすめのテキストは?
ここまで読んで【簿記の勉強を始めよう!】と決意した人に向けて、簿記の勉強方法を解説します!
簿記の始め方
簿記の勉強を始めるために必要な作業は3つです。
- 受験する時期を決める
- 独学で頑張るか予備校に通うか決める
- 電卓を買う
日商簿記の3級と2級はいつでも受験が可能ですので、まずは合格する時期を決めましょう。
合格する時期を決めたら、テキストを買って独学で勉強するか予備校に通うか決めます。
最後に簿記を勉強するときの必須アイテム電卓を買いましょう。
これで準備万端です。
詳しくは関連記事で解説してますのでぜひご覧ください。
簿記の勉強方法
【仕訳】とは、簿記において取引を記録するための方法で、簿記では一定のルールに従って取引を記録する、すなわち仕訳を書いていきます。
そのため、仕訳を書けなければ簿記では何もできないのと同じです。野球でボールを投げられない、サッカーでボールを蹴れないのと同じレベルです。
より細かい勉強法は関連記事で解説してますのでぜひご覧ください。
簿記を諦めたくなったとき
簿記を勉強していて、全然理解ができないときやテストで点数が伸びないときは勉強時間や勉強方法を見直してください。
日商簿記2級は高校生という若い頭でちゃんと勉強すれば100%合格します。
勉強時間と勉強方法のより具体的な見直し方は関連記事をご覧ください。
また簿記がつまらないなと思ったときはぜひこちらの記事をご覧ください。
簿記1級の勉強方法
高校生で簿記1級を目指すべき人は公認会計士や税理士を目指している人のみですが、個人的に高校生ですでに公認会計士や税理士を目指している人はぜひ応援したいと思います。
日商簿記1級の勉強法を関連記事にまとめていますのでぜひご覧ください。
簿記を勉強するときの注意点
簿記の勉強よりも学校の勉強を優先する!
高校生であれば学校の授業や定期テスト、大学受験などの簿記ではない勉強をたくさんするかと思います。
簿記を勉強する上で絶対やってはいけないことは簿記の勉強に集中して、学校の授業やテストの勉強を疎かにすることです。
日商簿記は確かに価値の高い資格ですが、高校生が学校の授業やテストを犠牲にしてまで取得する資格ではありません。
勉強の優先度は絶対に間違えないようにしましょう。
まとめ
- 高校生が合格を目指すべき簿記検定は日商簿記2級
- 日商簿記2級は進学や就職で有利になる
- 簿記の勉強では仕訳をマスターすることが大事
- 簿記よりも学校の勉強やテストのほうが大事
私は商業高校だったので高校生の時に日商簿記2級を取得しましたが、商業高校ではない高校生で簿記の勉強をはじめる人はほとんどいないのではないでしょうか。
簿記の勉強は進学や就職で役立つのはもちろん、一生役立つ知識が身につきますので、この記事を読んで簿記の勉強を始める高校生が1人でも増えれば嬉しいです。
それでは、今日はここまで。最後まで読んでいただきありがとうございました!